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振動から生物の内部構造がわかる原理

 はじめに

 その昔、源義経がまだ牛若丸と呼ばれていた頃、「お寺の大きな鐘を小指一本で動かしてみせる。」と言って大人を驚かせた話が残っています。牛若丸は、物体の共振をよく知っていたのでしょう。お寺の鐘を撞く時によく見るとわずかに鐘が揺れます。その周期をよく見ておぼえます。鐘が動いていないとき、覚えておいた周期で小指に力を入れて鐘を押すと、いつの間にか少しずつ重い鐘が動くのです。ブランコで少しずつ子供の背中を押していると、だんだん揺れが大きくなるのと同じです。 またある映画では、金切り声を上げると、ワイングラスが割れるシーンがありました。これはある音程の声にワイングラスの共振が一致したため、グラスにエネルギーが与えられ壊れるのです.
 私たちは、この共振あるいは共鳴と呼ばれる現象に着目し、生物(果実、野菜など)の硬さを測定し、その情報から果物や野菜の食べ頃、取り頃を判定する技術を開発しました。
 以下にその原理を、詳しく解説いたします。
 

共振・共鳴とは

 お寺の鐘を撞くと、ゴーンという音がします。突然カーンという音がするわけではありません。誰が撞いても、どのような力で撞いても同じ高さの音が聞こえます。これはこの鐘が固有の音の高さを持つからです。音の高さを決めているのは、この鐘が1秒間に何回振るえているかによります。1秒間に何回震えるかを示すのが振動数という単位です。単位はHz(ヘルツ)で表します。鐘がある固有の音を出すのは、鐘が外から力を加えられると鐘がある特定の振動しかしないからです。これを固有振動数といいます。
 音の高さと振動数の関係はいつでもラジオで聞くことができます。NHKで定時になるとよく時報がなります。ポッ、ポッ、ポッ、ピーというのを聞いたことがあるでしょう。最初の低いほうのポッは1秒間に440回振動している音なので440Hzです。最後のピーは880Hzです。音の高さはドレミで表すことができます。440Hzはラの音です。880Hzもラの音です。どちらもラの音ですが、880Hz440Hzのラよりも1オクターブ高いといいます。アメリカの歌手マライヤ・キャリーは 7オクターブの音を出せるといわれていました。
 さて、お寺の鐘だけではなく、地球上に存在するあらゆる物体には、固有の振動数があります。野球のボールがバットに当たるとき、カキーンという音がしますし、テニスや卓球でも音がします。スイカをたたいても音がします。スイカをたたいたときにどのような振動が出るのかを特殊な装置で計ると、図1のようになります。

 

        図1 スイカの共振スペクトル 

 この図は縦軸にスイカの振動の強さを、横軸には振動数をとっています。横軸の80というのは1秒間に80回振動しているということです。この図をよく見ると、山がいくつも出ています。一番左から1次、2次、3次・・・共振ピークといいます。
 実は今から30年以上前に、この2次ピークの共振周波数を使うと、物の硬さがわかることを式に表した人がいます。Cookeという人です。物の硬さは次の式で計算できます。

   硬さ = (第2共振周波数) × (重さ)2/3 × (密度)1/3

 一般的に果物は未熟な時は硬く、腐ると軟らかくなります。ですから、硬さを測ると熟度がわかります。
 私たちは、果物の第2共振周波数を測ることで、熟度を見積る技術を開発しました。この共振法の最大の特徴は非破壊という点です。果物を傷つけずに測れるので、測った果物を売ることができます。
今までも果物の硬さを測る道具はありましたが傷をつける方法なので、測った果物は売れません。ですから果物のの硬さで熟度がわかっても、お客様にそれを食べていただくことができませんでした。


 
有限会社生物振動研究所
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